「2025年07月」の記事一覧(4件)
カテゴリ:別荘について / 更新日付:2025/07/07 17:27 / 投稿日付:2025/07/07 17:27
日本における別荘所有者の実態とは?
~所有者の数・年齢層・利用目的をデータとともに分析~
日本各地のリゾート地には、美しい自然に囲まれた「別荘」が点在しています。軽井沢、熱海、那須高原、伊豆、白馬など、週末や長期休暇を過ごす“第二の住まい”として人気ですが、実際に別荘を所有している人はどれくらいいるのでしょうか?
今回は、別荘所有者の人口や傾向、背景にある社会構造をデータから読み解きます。
■写真は京都府船井郡京丹波町にあるデザイナーズハウス
■ 別荘所有者の推定人口
国勢調査や住宅・土地統計調査(総務省統計局)などから得られる情報をもとにすると、日本国内で「別荘(セカンドハウス)」を所有しているとみられる世帯数はおよそ30万~35万戸とされています(※1)
これは全国の総世帯数(約5,000万世帯)の**およそ0.6~0.7%**に相当します。
つまり、約150人に1人が何らかの形で別荘を所有している計算になります。
※1:住宅・土地統計調査(2023年速報値)より。セカンドハウスや長期不在住宅として登録された戸数を集計

■写真は京都市左京区久多にあるハンドカットログハウス
■ 年齢層と世帯属性:富裕層だけのものではない?
別荘所有者の年齢分布は以下のような傾向があります:
60代以上が最多(全体の約45%)
続いて50代(約30%)
30〜40代の若い所有者も増加傾向

近年ではリモートワークの普及やライフスタイルの多様化により、若年層での「ワーケーション別荘」需要が高まっています。サーフィンが趣味の人が海辺の古民家をリノベしたり、子育て世帯が自然の中でのびのび過ごせる環境として地方に拠点を持つケースも。
■写真は兵庫県三木市にある古民家の薪ストーブ
■ 所有動機と利用スタイルの変化
所有理由は時代とともに変化しています。
| 主な目的 | 傾向 |
|---|---|
| 休暇・リゾート利用 | 昔ながらの「避暑地利用」。軽井沢・那須などが人気。 |
| 二拠点居住 | 平日は都市、週末は自然の中というライフスタイル。 |
| 資産運用・民泊 | 賃貸化やAirbnb利用も含む。 |
| リモートワーク拠点 | コロナ禍以降に急増。長期滞在向けの物件も人気。 |
中でも「使っていないときは貸し出す」というシェア型別荘利用が近年増加中。特にZ世代・ミレニアル世代では、完全所有よりも「シェア・共同所有」「タイムシェア型」などの新しい形も注目されています。
■ 地域別傾向:どこに多い?
国土交通省の別荘地調査などから、以下のエリアが特に人気です。
軽井沢(長野):圧倒的人気。都心からのアクセスも◎
那須高原(栃木):自然と価格のバランスで人気
伊豆・熱海(静岡):温泉地・海・首都圏近接
八ヶ岳・白馬(山梨・長野):アクティビティ志向の世帯に
北海道・沖縄:景観と非日常性で長期滞在派に支持
※関西圏は上位に入ってません。。。
■ 別荘市場の今後の展望
日本の人口減少・空き家増加に伴い、「別荘」への価値観も大きく変わりつつあります。
従来は富裕層の趣味的要素が強かった別荘ですが、現在は「日常を切り替える拠点」「人生の充実を図る場所」として多様な人々にとっての選択肢になっています。
また、国や自治体も「二地域居住の促進」を支援しはじめており、空き家活用や移住体験制度との連動で、地方経済の活性化とも結びついています。
■写真は京都府南丹市美山町にあるかやぶきの家
■ まとめ
日本の別荘所有者は推定30万~35万世帯60代以上が中心だが、若年層でも需要拡大中
用途は多様化し、シェア利用・ワーケーションなど新しいスタイルが普及
人気エリアは軽井沢・熱海・那須など
今後は**「住まい方の多様化」の象徴**としてさらに注目
編集後記:あなたにとっての「別荘」とは?
忙しい日常を離れ、自然の中で深呼吸できる場所。
それが現代における「別荘」の価値かもしれません。
所有か、シェアか、サブスクか——あなたらしいスタイルで、“自分の場所”を見つけてみませんか?
カテゴリ:別荘と健康についてのお話し / 投稿日付:2025/07/07 07:07
渓谷沿いに別荘を建てる健康上のメリット

1. 森林浴によるリラックス効果
樹木が発するフィトンチッドにより、自律神経が安定し、ストレス軽減。睡眠の質が向上し、精神疲労の回復にも効果的。
2. 清らかな空気とマイナスイオン効果
渓流の音と共に空気中に多く含まれるマイナスイオンが呼吸器系に良い影響。気道がすっきりし、慢性鼻炎やアレルギーにもプラス効果が期待。
3. 運動習慣の自然な形成
散策、ハイキング、軽登山など身体を動かす自然環境。気軽なアクティビティで運動不足の解消と代謝向上。
4. 四季の変化を感じる生活
自然と共に暮らすことで、自律神経が整いやすくなる。季節の植物や野鳥観察など、五感を刺激する環境が脳にも良い。
5. 静寂と自然音による瞑想効果
渓流のせせらぎ、鳥のさえずりが日常の騒音を忘れさせ、心のデトックス。マインドフルネスや瞑想との相性も抜群。

カテゴリ:日本家屋の建築や様式について / 投稿日付:2025/07/06 16:47
格式ある和の美「格天井」とは?—日本建築の魅力を天井から知る
■ 格天井(ごうてんじょう)とは?
格天井とは、木材で格子状に組まれた天井構造のこと。
伝統的な日本建築に見られる意匠で、格式の高い寺院や神社、数寄屋造りの和室、城郭などに用いられます。
格子状に組んだ枠(格縁)の中に、「鏡板(かがみいた)」と呼ばれる板や絵が納められ、美術性も高いのが特徴です。
■写真は奈良県御所市に建つ日本家屋の応接室にある格天井
■ 格天井の構造図(イラスト)
以下のような構造をしています:
格縁(ごうぶち):木でできた格子の枠部分
鏡板:格子の中にはめ込まれた平板。無地だけでなく、花鳥風月などの日本画が描かれることも多いです

天井板の裏側には装飾金具を打ちつけることもあります

■写真は奈良県御所市にある日本家屋の玄関天井
■ どんな場所に使われている?
| 用途 | 特徴 |
|---|---|
| 寺院(例:東福寺方丈) | 天井画の龍や鳳凰など、宗教的モチーフが描かれることが多い |
| 書院造の和室 | 正座する位置の正面に格天井がくることで格式が演出される |
| 城郭の大広間 | 高い位の人が使う空間の象徴として |

■写真は滋賀県愛知郡愛荘町にある日本家屋の玄関
■ 格天井の魅力と現代での使い方
格天井は、装飾性と構造の美を兼ね備えており、**「見上げる芸術」**とも言える存在。
現代では、旅館や料亭、またモダン和風住宅のリビングや玄関などでも、天井デザインとして復活しています。
まとめ
格天井は、日本建築の中でも格式と美意識の象徴的存在。
建物を訪れる人に「和の心」を伝えるために、今も多くの場面で活かされています。
カテゴリ:日本家屋の建築や様式について / 投稿日付:2025/07/05 11:42
日本家屋の屋根デザイン:「起り屋根」と「反り屋根」の違いとは?
日本の伝統建築には、美しく洗練された屋根のデザインが数多く存在します。その中でも特に代表的なのが「起り屋根(むくりやね)」と「反り屋根(そりやね)」です。
名前は似ていますが、その形や与える印象、設計思想には大きな違いがあります。本記事では、この二つの屋根の特徴と違いを、写真やイメージを交えて分かりやすくご紹介します。
◆ 起り屋根(むくりやね)とは?
起り屋根は、屋根の中央部分が緩やかに「ふくらんでいる」ように見える屋根の形です。曲線が上向きに持ち上がっているのが特徴で、「むくり(膨らみ)」という言葉がそのまま名前になっています。
▶ 特徴
屋根の棟(頂上)から軒先にかけて、ゆるやかに持ち上がった曲線。
優雅で柔らかい印象を与える。
茶室や数寄屋造り、現代和風建築にも多く使われる。
日本的な「簡素さの中の美」を体現したデザイン。
▶ メリット
雨水の流れがスムーズで、構造的にも安定している。
視覚的に「安定感」「柔らかさ」「上品さ」を演出。
現代建築との相性も良く、リノベーションにも取り入れやすい。
◆ 反り屋根(そりやね)とは?
反り屋根は、屋根のラインが反り返るように下がっていくデザインです。特に、寺院や神社などの伝統的な建築でよく見られます。
▶ 特徴
屋根の棟から軒先にかけて、大きく外側に反り上がるようなライン。
力強く、荘厳な印象を与える。
寺社仏閣や城郭、格式高い日本建築に多く使われる。
▶ メリット
雨や雪をしっかり流す構造になっている。
遠くから見ても目を引く、重厚感と存在感。
建物に格式や歴史的な威厳を感じさせる。
◆ 起り屋根と反り屋根の違いを比較
| 特徴 | 起り屋根(むくりやね) | 反り屋根(そりやね) |
|---|---|---|
| 曲線の向き | ゆるやかに「上にふくらむ」 | 大きく「外に反り上がる」 |
| 印象 | 柔らかく優美な印象 | 力強く荘厳な印象 |
| 用途例 | 数寄屋造り、茶室、住宅 | 寺社仏閣、城郭 |
| 建築スタイル | 簡素で現代的にもマッチ | 伝統的で格式あるデザイン |

◆ まとめ
起り屋根と反り屋根は、どちらも日本建築を象徴する美しい屋根形状ですが、そのデザインがもたらす印象は大きく異なります。
「上品で静かな美」を求めるなら、起り屋根。
「堂々たる風格」を求めるなら、反り屋根。
リフォームや新築、和モダンのデザインを考える際にも、この違いを知っておくと建築の表現の幅が広がります。








